#肝臓の働き
肝臓の主な働きは以下の通りです
①代謝・貯蔵
腸で消化・吸収した糖質(炭水化物)、蛋白質、脂質をはじめ、ビタミン・ホルモンなどを分解や合成、貯蔵し、必要なときに全身に供給する。
②解毒・分解
摂取したアルコールや薬物、蛋白質の代謝で不要となったアンモニアなどの有害物質を分解して無毒化する。
③胆汁の生成
脂肪の消化吸収を助けたり、肝臓で処理された不要物を排泄する役割をもつ胆汁を生成する。
④免疫
肝臓には腸管から血液が集まるため、侵入してきた病原体やウイルスなどが、肝臓にいるさまざまな免疫細胞によって排除される。
⇒ 食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足により、摂取カロリーが消費量を上回ると、肝臓で過剰な脂肪、糖質や蛋白質から中性脂肪が作られ、脂肪肝となります。
#脂肪肝
脂肪肝には、お酒を飲み過ぎた人がなるアルコール性の脂肪肝と、お酒をあまり飲んでいない人がなる非アルコール性の脂肪肝があり、その多くは、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧を伴っていて、メタボリックシンドロームの肝臓病と考えられています。
お酒の飲み過ぎは脂肪肝にとどまらず、肝炎や肝硬変になることがよく知られています。お酒をあまり飲んでいない非アルコール性の脂肪肝の人でも、10~20%の人は徐々に肝臓の病気が悪化して、なかには肝硬変に進行したり、肝がんを発症したりすることもあります。
#MASLD
2023年世界各国の肝臓専門医が議論し、脂肪性肝疾患をsteatotic liver disease(SLD)と総称し、過剰飲酒がなく代謝異常が生じている場合を「代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD、マッスルディー)」(従来のNAFLD)としました。
MASLDの定義は、アルコール摂取量男性30g/日、女性20g/日未満で、肥満・血糖・血圧・中性脂肪・HDLコレステロール値に関する5つの心臓代謝危険因子のうち1つ以上を含むことです。(ちなみにビール500mlに含まれるアルコールは20gです)
このMASLDに該当して、かつ肝炎が生じている場合は、「代謝異常関連脂肪肝炎(MASH、マッシュ)」(従来のNASH)となりました。
#奈良宣言2023
肝臓は⾃覚症状が現れにくい「沈黙の臓器」といわれており、健診などでの肝機能検査が重要で、肝臓学会の「奈良宣言2023」ではALT>30 でかかりつけ医受診を推奨しています。
#患者さんとご家族のためのNAFLD/NASHガイド2023
食生活や運動習慣を見直すことで、NAFLD/NASHを予防できることがあると説明されています。
以下に引用いたします。
・ご自身の体格・体重を確認しましょう。BMI[体重(kg)÷(身長(m)の2 乗)]が25以上になっていないか、ウエスト周囲径が増えていないか(男性85cm以上、女性90cm以上)に注意しましょう。
・逆にBMI 18.5未満のやせている方は、過度なダイエットは控えましょう。
・血液検査や画像検査を積極的に受けて、ご自身の肝臓の状態をよく知るように心がけましょう。
・食生活を見直しましょう。
①3食きちんととり、バランスのよい食事を心掛けましょう。食べ過ぎに注意し、果糖を多く含む清涼飲料水などのとり過ぎに注意しましょう。
②ラードやバターなど動物性の油は飽和脂肪酸が多いので控えるようにしましょう。紅花油、コーン油などリノール酸を多く含む油を使用した揚げものや炒めもの、コレステロールを多く含む卵を使用した料理などもとり過ぎに注意しましょう。トランス脂肪酸を含むマーガリンやショートニングを使用した菓子パンや洋菓子なども避けましょう。
③ 多価不飽和脂肪酸を多く含む青魚や、ビタミンE や食物繊維を含む緑黄色野菜を積極的にとるようにしましょう。
④ 夜遅く、または寝る前に食事をすることは控えましょう。
・体内の脂肪を燃焼させるため、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を週3~4回、3分以上行いましょう。関節に負担をかけない程度の筋肉トレーニングやヨガなどの運動を加えるようにすると、筋肉量が増加して基礎代謝も高まるので、さらに効果的です。
・ダイエットをうたった健康食品やサプリメント、漢方薬などを安易に長期間使用するのは危険です。使用する場合は前もって医師とよく相談しましょう。健康ドリンクなどもカロリーが高いものがあるので、とり過ぎないように注意が必要です。
参照・引用先:
国立国際医療研究センター肝炎情報センター「非アルコール性脂肪性肝疾患」
日本肝臓学会「奈良宣言2023」
患者さんとご家族のためのNAFLD/NASHガイド2023(日本消化器病学会、日本肝臓学会)